会津の伝統工芸 『漆』

職人の技が光る会津の伝統工芸 『漆』

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漆について皆さんご存知でしょうか?
漆とは、漆の木の樹液のことです。 漆の木に傷をつけると、そこから傷を治そうと樹液が染み出てきます。 それを採取し、接着や装飾に使用するのです。

漆は何千年も昔から、食器、家具、装身具、建築、仏像など、幅広く利用されてきました。 また、漆は美しいだけでなく、とても丈夫な塗料でもあります。 耐水性、耐熱性に優れ、腐ることもない、とても強いものなのです。

そして、会津はその漆器の名産地。 「会津塗り」と呼ばれるその漆工技術は、天正18年頃に基礎が築かれたそうです。 明治頃からは大衆向けの商品も数多く送り出してきました。「会津絵」と呼ばれる雲形に様々な模様を描いた錦絵や、金虫喰いの模様が有名です。

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漆といえば、かぶれることでも有名ですね。かぶれとは、漆に含まれているウルシオールという成分が蒸発し、皮膚から入ることで引き起こされるアレルギー反応です。 木の近くにいるだけでかぶれる人もいますが、乾いた漆であれば、かぶれる心配はありません。 症状には個人差があり、皮膚が弱い人では顔や首などが腫れてしまう場合もありますので、十分注意しましょう。

会津には、老舗の漆器店はもちろん、漆を学ぶ学校もあります。 そこで、現在会津大学短期大学部で漆を学んでいる生徒2名にインタビューしてきました。会津の学生の生の声をお届けします。
今回お話を伺うのは、会津に来て漆器を学び始め2年目となる山田さんと渡辺さんのお2人です。

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どちらも出身は会津ではないそうですが、もともと漆というものをご存知だったのでしょうか?

山田:お椀とかお盆というイメージはありました。でも作り方などは知らなかったです。

渡辺:自分は知らなかったです。家族は知っていたようですけど。

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では、会津に来てからなぜ漆を学ぼうと思ったのでしょうか?

山田:どうやって作ってるんだろうという仕組みを知ることがもともと好きで、先輩や先生の話を聞いて興味がわきました。  自分でも作ってみたい!って思いました。

渡辺:モノを作ることがもともと好きで、自分に合ってるかなと思いました。ひとりでもくもくと作るのが好きなので。

山田:うん、わかるなぁ〜。楽しいよね。

渡辺:あとは実物の漆器を見て、どうやって作ってるんだろう、どんな技法を使ってるんだろう、と思ったからです。

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二人とも、もの作りが好きなんですね。実際に漆器を作っていて楽しい、面白いと感じたことは何でしょうか?

山田:お寺とか、金箔を貼るときとか、いろんな所に使われていることに驚きました。 あと、自分で作品を作り出すということが嬉しかった。作ってる!って感じがする。

渡辺:新しい技法を学ぶとき。知らなかった技法を覚えることが楽しいです。展覧会に行って、色んな人の作品を見ると 知らない技法を使っていたりするので、おどろきます。よく先生に『これはどんな技法ですか?』と聞きます。 それと、国内で漆を学べるところは少ないので、それも良いと思いますね。貴重な体験です。

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逆に、漆器を作るなかで大変だったこと、苦労されたことはありますか?

山田:うーん、時間がかかることです。思い通りに作業が進まないことかな。でもそれがまた良いところですよね。

渡辺:傷つけてしまった時です。デリケートなものだから、扱いに気を付けてます。愛情込めて作ってます!

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それでは最後に、これからの抱負を聞かせてください。

山田:おぉ!というものを作りたいです。情熱が伝わってくるような、ソウルフルな作品を作りたいです!

渡辺:技法をうまく組み合わせたものを作りたいと思ってます。自分が納得できる作品を、完全に作りたいです。

会津ではこのように貴重な体験をすることもできるのです。 もっともっと、多くの方に会津塗りの良さを知っていただきたいですね。

少しでも会津塗りに興味を持っていただけたでしょうか?
会津を訪れた際は、職人達が丹精込めた漆器を是非ご覧ください!

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会津の伝統工芸 『漆』

会津大学短期大学部
URL
http://www.jc.u-aizu.ac.jp/

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